《MUMEI》
『マモリビト』
.


彼等の視線にたじろいだが、思い切って言葉を続ける。

「…ふたりだけで盛り上がってないで、今日起こったことについて、早く説明してくれませんか?」

念を押すように言うと、無精髭の男は一瞬キョトンとし、それから吹き出して笑う。

「あースマン、スマン!そういや自己紹介もまだだったよなぁ!」

ひとしきり笑うと、彼はシニカルな笑みを口元に浮かべ、座椅子の背もたれに身体を預ける。

そして、ゆっくり呟いた。


「俺達はね、この屋敷専属の護衛なの」



…。

……。

………『護衛』?

ってことは、つまり、



「…ボディーガードってこと?」

わたしの問いかけに、無精髭の男は「ピンポーン!」と陽気に笑う。

「カッコ良く言うとそーなるね。でも、この屋敷の人達は俺達のことを『マモリビト』と呼んでる」

「『マモリビト』…?」

「そ。護る人ってイミで『護り人』。安直だけど、結構オシャレだろ?」

どうでも良いことを呑気に言われたので、わたしは、はぁ…と曖昧に頷く。



.

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫