《MUMEI》

「フェルってそういう仕事もしているのか?」

サプリに敬語をやめろと言われていたので遠慮無く話しかけることにした。

「まさか。こんな通達が来たのなんか初めてだ。その人物がうちの学校に入学するから、ノルフェスたちに見つかる前に保護してくれ。って言われていたんだが。」

「…人物って、うちの学校の生徒?」

「あぁ。」

「もしかして、俺と同じ1年生?」

「そうだ。」

「…もう、今年度終わるよ?2年生とか3年生じゃないだけ良いんだろうけど。」

「だから、困っているんだ。私は探(サーチ)の能力を持っているわけでも無いし、お偉いさん方も、大した情報は持っていなくてな。」

「…山男には?」

「ヤマオト…?…あぁ、リキの事か。あいつも同じタイミングで学校に戻ってきたのは知っていたが、まさか魔力残しているとは思わなくてな。
自分のスレシルなら、気配を感じ取ることが出来るんだが、リキの力の場合、今は私から得た力ではないから、分からなかったんだ。」

そこでしばらく会話が途切れた。
雅俊は、本人目の前では呼べないなぁ、と考えながら、山男と発した自分の口に少しだけ驚いていた。


先に雅俊が質問を続ける為に口を開く。

「で、その探してほしい人物って言うのは何者?ただの人では無いんだろう?」

「ここからかなり離れた中学校でスレシルになり、適合魔法を完成させないまま、行方が分からなくなった人間だよ。」

「…?」

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