《MUMEI》

相田の行く手を阻む様に立ちふさがってきた琴音へ
相田は派手に舌を打ち、踵を返すその動きに逆らう事無く刀を抜いて
琴音へと差し向けた
「……何が、目的だ?」
凄む様に問うてみれば、琴音の肩が微かに揺れる
「……目的、ね。それはアナタ達の(指斬り様)に聞いてみるといいわ」
きっと教えてくれるはずだから、と嫌な嘲笑を浮かべ琴音はその場を後に
一体、物言わぬあの狐が何を語るというのか
やはり相田は怪訝な表情を隠しきれない
「……私は、――になるんだから」
そのまま琴音へと背を向け歩き始めた相田へ
背後から琴音の呟く声
聞こえていたモノに振り返る事もせず
相田はそのまま、帰路へと着いたのだった……

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