《MUMEI》
札束
.
初めましてこんにちは
藍原 敦之
アツユキ、です
俺はモテます
弟がいるんですが
アイツはどうしたものか、
一般的に見れば中の上だとしても
可哀相に、
藍原家には無いレベルの外見です
まあ、アイツのことはどうでもいいんですが。
それより
今日は事務所に行く日。
歩く街中でも
優等生の笑顔、っていう仮面に見とれて
ひそひそやったり、
この仮面の側に居たいって欲求を持って言い寄って来る奴等はたくさんいる
居たがるだけで何もしないなら別に軽くあしらってやるけど
特に一線越えようと
踏み込もうとする奴
うざったいです
だから…
こっちからも擦り寄るだけ擦り寄って、
天国見せてあげます。そして
突き落とす。
それが、快感
ただ今回はその踏み込んで来た相手が
男ダッタ、ソレダケノ話デス
面白そうなので
少し遊んでやろうと思います
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さて、事務所についた。
「こんちは〜」
ビルの三階。軽い事務室みたいになってる、その部屋のドアを開ける
『おぅ藍原!』
「っす」
俺に笑って見せた中年太りのオヤジ…
まあ、社長に軽く会釈して
他のスタッフの座った椅子の間を横歩きしながら
そっちに歩いた
『お前今月稼いだなー』
社長がぶっとい指で福沢諭吉を数える
「頑張りましたから」
俺は誇らしげに笑って見せた。
『…七十九だ』
数え終えた社長は目を丸くして笑って
『お前が出るとバカ売れするんだよな』
福沢の大群を茶封筒にねじ込んだ
『お前とだと、相手役も楽だそうだ』
「それは良かったです」
微笑みに微笑みを返して、
差し出された茶封筒を受け取り、
「あざっす。」
それ少し掲げ上げて会釈。
封筒を大事気も無くカバンに放り込んで
チャックを閉め
「じゃ、失礼します」
俺は踵を返してビルを後にした。
優等生の仮面を再び作りながら。
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