《MUMEI》
放課後2
「お?おかえり。サプリに会えたか?」

「…先生が、サプリに対して文句を言っていた理由が何となーく分かりました。」


山男は声を上げて笑うとコーヒーを入れたカップを雅俊に渡す。


「だいぶむかつくヤツだけどな。一応世話になった身だから擁護してみるか。すごく適当なヤツだし、めんどくさいことを押しつけてきたりするけど、まぁ、悪いヤツじゃないよ。なんだかんだ文句言いながらも俺たちの面倒を最後まで見てくれたし。」

「あぁ、それでさっそく面倒事を押しつけてきたのか…」


コーヒーを受け取った雅俊は、準備室の真ん中にある大きな実験机の上に食べかけの焼きそばパンと、その隣におにぎりがあるのを見ながら無意識にお腹をさする。


「おにぎり…?」

「あぁ、焼きそばパンも半分しかないみたいだし、今日は何回もソウランに入っているから腹減っているだろう?さっき購買で買ってきたものだから、良かったら食べろよ?」

「…助かります。」


雅俊が、潰れた焼きそばパンよりもおにぎりも取ったのを見て軽く笑うと山男は自分の椅子に座って雅俊に問いかける。


「で?面倒事ってなんだよ。俺に言っても良さそうな事?」

「なんか、どっかの中学でスレシルになったヤツが同じ学年にいるんですって。それを探せって言われました。」

雅俊はおにぎりの包みを取り外すと、大きな一口目を頬張りながら会話を続ける。

「え!?えぇ?」

「いるみたいですよ?」

「…あ、そう、本当に居る、んだな…他のフェルのスレシル。…どうやって探すんだ?」

「さぁ?」

「…」


山男から深いため息で憐れみの念を送られた雅俊は、残ったおにぎりを全部口の中に入れた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫