《MUMEI》

「ところで」

「?」




話を変えるかの様に、山男は雅俊に質問をしてきた。



「さっき、どうしてお前はあんなに簡単に魔法を使ったんだ?」


「どうしてって言われましても…」


「化(センス)って言うのは、異常に理解しにくい能力だと思うんだ。
なのにあんなにあっさり使いやがって。」


渋い顔で雅俊を見ながら山男は腕を組む。


「確かにパッと飲み込める能力では無いですけど。
でもそんなに理解しにくいってほどでも無いかな。」





それに対して、雅俊は思い出すかの様に答えるが、山男は納得がいかない顔で話を続ける。


「雅俊の間(スペース)はおいといて、化(センス)と錬(トレイン)を持っているって事は、俺と能力が被っているんだよ?」


「そんな事言ってましたね。。」





「俺は、自分に何が出来るのか、見つけるのに、こっちの時間で2週間。
ほぼ向こうにいたから、掛けることの5で、10週間だから、約2ヶ月掛かったんだ。」



「…」



山男が少し沈んだ声で言うので雅俊は黙って続きを待つ。



「それも、先に使える様になったのは錬(トレイン)。
色んな物を作り出そうとしたけど、上手く行かなくて、一瞬で思い描く物が作り出せたのは『種』だけだった。」


「ってことは、時間かければ種以外も作れるんですか?」


「馬鹿にするなよ?種を作り出せるだけの能力持ってるんだ。出来ないわけ無いだろう。
ただ、細部まで思い描けないと作り出せないから、少し苦手意識はあるが。」


「へー、俺にも出来るのかな…」

「種はお薦めしないよ。
それ以外で、自分の作り出せる物を探すんだな。
それよりも、化(センス)だよ?
俺は種が作れた時点で、種の成長を促せるのも化(センス)だって知るまで無駄な時間を過ごしたんだ。
自分が作り出した種を成長させてみよう。ってなって初めて化(センス)の魔法を使うことが出来たんだから。」



多少なりとも、『植』使いである事を誇りにしていた山男だが、純粋に種を造り出す難しさを知っている。

『種』以外に能力を発揮出来そうな雅俊が無理にそれを試す必要は感じられない。


それに、もし雅俊が『種』を造り出せてしまったとしたら…

そこまで考えて、山男は無理矢理話を戻した。




「なのに、俺は先に化(センス)から使ってしまった。と先生は驚いてるわけですね?」

「その通りだよ。」


相づちをうつだけだった雅俊が少しだけ、笑顔を向けながらその時の事を話しだす。




「先生の言葉がヒントになったんです。
兄貴も化(センス)を使える。って、人の脳に影響を与える。って言ってましたよね?」

「言ったか?」

「はい。
だから、俺も取りあえず、人の脳みそに魔法を掛ける方法を考えたんです。」




「で、出来たと。」




「いいえ?出来るわけ無いじゃないですか。
そんな、やったことも無いこと。。」

「はぁ?」

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