《MUMEI》

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ジンの矢が違わず怪鳥の額を射抜く



それでも間を割って向かってくる鳥をシャロンが起こす灼熱の羽ばたきが焼き払う



「っしゃ余りモノォ!!」


『ララウ!』



残りはジンが切り払い、
レスカは見えない壁を三人と一羽の周りに張った






「全くもって…っ…キリがない!」

ジンが苛立ちを見せた



〈……リツ、フルアに渡された水晶は有るか?〉


羽ばたきながらシャロンがリツを見下ろす


「…ああ…。っあるけど?」

怪鳥が飛ばした羽が鋭利化した物をなぎ払いながらリツにポケットに手を突っ込んだ






「これだろ?」


リツの掲げた水晶はシャロンの焔を反射して



「?!」


その内側からもまた、晶を発し始めていた





〈それを〉


シャロンがリツの元へ急降下してその水晶を嘴に挟み


再び優雅に舞い上がる

〈いつまで寝ている気だ!体が鈍るぞ!〉



そして怒鳴りながら首を振り上げ、水晶を放った。










「仕方ない…まほ…ッ…」



ジンの言葉は、水晶が発する余りの気に詰まらせられた。




リツもその眩さに瞼を閉じる。



レスカだけは驚きの眼で、宙に浮かぶその水晶を見つめていた。



その晶は怪鳥たちを焼き払い、灰塵が空に散った。



「………」



言葉を失った三人の前に、水晶の有った位置から

金色の瞳を持つ黒猫が



〈…ンだよシャロン、俺はまだ…〉




「………ちっちぇ〜!!!!」






そう、リツの叫び通りの《子黒猫》が、フワリと着地した。






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