《MUMEI》
ヤマダチカラ
マジカルの舞台から遡ること7年―


山田力 高校2年秋――




「よーっす!山男!何ぼさっと黄昏てんだよー!」

「んぁ?おぉ、ダイちゃん、何?なんか用?」

「ひど!酷いよ!?俺ら、用が無きゃ話し掛けちゃダメ!なんてよそよそしい仲じゃないでしょ?」

「はは、いや、悪い悪い。ちょっと寝不足でさー。」



窓際の自席の椅子に座り、窓に肘をついて、確かにぼーっと校庭と校舎の間に植わっている木の葉っぱ一枚一枚を理由なく数えていた山男は、困っているかの様に眉をハの字に傾けて笑う。

話し掛けてきたのは、同じクラスの田中大(ヒロシ)。
高校2年に同じクラスに配属されて、お互い小学1年に習う漢字の名前って理由で意気投合し、今では親友とも呼べる仲になっていた。



「最近いっつも寝不足じゃん?寮の枕、今さら合わなくなった?ホームシック?」

心配してるように声を掛ける割には、笑いを堪え切れてない田中は、山男に肘鉄をくらいながら、山男の後ろの席に、勝手に座る。

「んー?ちょっとなぁ、考え事してたら寝れなくて。」

「こないだ言ってた、新部設立の話?」

「…まぁ、そんな感じ。」



ふーん。相づちを打ちながら山男のもたれている窓の隣を開け、同じ様に肘をつく。


山男も再び、目の前にある木に目を移し、ぼんやりと風に揺れる葉っぱを眺める。しかし、田中は木の向こう、校庭で走りこむ陸上部に目が行ったらしい。

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