《MUMEI》

――――

――






「ぅあ!?…ッぶは!!

な、なななんなんですか!?今の!!?」






真っ赤な顔で軽くパニックになりながら、咄嗟に壁際まで逃げた雅俊は荒い息をして叫び声を上げる。




「ん?ちょっと魔力チャージをさせてもらうって、さっき了承もらったじゃないか。」

「聞いてませんよ!!?こんなって!」

「知ってたら、やらせてくれなかっただろう?」




対照的に山男は明るく笑っている。




「聞いてたって想像つきませんよ!こんな…あーもう!」



少し落ち着いてきたのか、雅俊はその場にずるずるとしゃがみ込むと顔を手で覆ってしばらく動かなくなる。



それを見て小さく笑った山男は、昼に保健室で巻いてもらっていた包帯を完全に左腕から取り去る。
午後一番の授業は空いていた山男も、その次の時間はしっかりと授業が入っていたので、
二の腕から手の甲まで左腕を見事に飾るスレシルに伴う文様を隠すために包帯を使っていた。




―ぼぉ…




山男は包帯を取り除いた左腕を持ち上げると、自らのパワーゲージを出現させる。
雅俊はシンプルな、プレート状のパワーゲージだったが、山男のはクラシカルな雰囲気の装飾が嫌らしくない程度についたものだ。






「ふーん、一瞬のチャージでもこんなに溜まるんだな。
現役スレシル恐るべし。
なのか、雅俊の異常なパワーだからなのか。。こんなに魔力持って生活するの久しぶりだな。」



栄養過多でじんましん出なきゃ良いけど。などと呟く山男を、
指の隙間から見ていた雅俊は大きくため息をつきながら、顔を両手でごしごしとこすり、ようやく立ち上がる。

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