《MUMEI》

あいかわらずクスクス笑っている山男は、近くに戻ってくる雅俊へ、逃げる時に落としていったジャージを拾って渡してやる。



「もう大丈夫か?…やばいぐらい気持ちよかっただろう?」

「!」

「俺も初めて善彦とやった時は、びっくりしたもんなぁ。120%の勢いで下半身に来るし、気合い入れて無いと瞬間でイキかける。」


「…///」



真っ赤な顔でぱくぱくと口を動かす雅俊に気付くと困ったような顔で笑いかけ、すまんすまんと謝る。


「でも、ほんの1,2秒でこれだけ蓄えられたのは助かったよ。
善彦とやると、この位まで力溜めるのに1時間は掛かるから。」

「…こんなのを1時間も…」



「自分の兄貴のあえぎ声なんか聞いたこと無いだろう?あれは気持ち悪いぞー。」


ケラケラと笑う山男にとうとう雅俊はブチ切れる。


「!!!…良いから、その危険なものしまって下さい!」

「危険ってお前…」

「もうしまっても良いでしょう!?力も溜まったんですから!」




そう言って、雅俊は先ほど受け取ったジャージを再びはおる。

山男も今度は笑わずに謝ると、出現させていたパワーゲージを消すのと同時に、左腕のスレシルも文様もスッと消す。






捲っていた袖を直す山男を見ながら、雅俊はあれ?と声をかける。

「出す時、結構時間掛けて痛そうにしていたのに。あっさり消すんですね?」


「ん?これな、スレシルも文様も、出す方が魔力使うんだよ、地味に痛いし。
消すのは一瞬。ほとんど魔力も使わない。
消し方を習得するまで頑なに皮膚の上にいるクセに、消える時呆れるくらい一瞬だからな。」



山男はそう言って、既になんの跡形も無くなり、袖に隠れた左腕をぽんぽんと叩いてみせる。




「でも、力をチャージする時は、先生も兄貴もスレシル出すんですよね?」


「まぁ、スレシル同士を直接くっつけないことには力はチャージされないからな。」








「なんでそこまでリスクを伴うのに、2人は魔法を使い続けるんですか?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫