《MUMEI》 「…最近さ、」 「ん?」 しばらく2人とも黙って外を眺めていたが、田中がぽつりと話しだした。 「善彦ともつるむ様になったじゃんか。」 「…あぁ。」 そう言われて、山男は木の向こうの陸上部に目を向ける。 陸上部の活動内容に詳しくはないが、それぞれ担当の種目に別れて練習しているの位は知っているから、自然とトラックの中央に目が行く。 「今日は練習出てるみたいだけどさ、なんかあいつ最近練習さぼってるらしいんだよね。」 「…」 「善彦って言ったらさ、運動部の連中といつも一緒にいて、俺らみたいな帰宅部とはほとんど関わり無かった訳だよ。」 「まぁ…な。」 「それがだよ?なんでか、いつの間にか俺たちといるようになって、ついでに部活さぼってるもんだから、なんか俺らの所為だ。みたいな事言われてるみたいで。」 「…はぁ?放課後は別に一緒にいた事ないだろうが。なんだよそれ…」 「なんか、陸上部の顧問にまでこないだ探り入れられて、ムカついた。放課後までベタベタ一緒にいねぇし!って言ってやったよ。」 鼻息荒く、しかし声を大きくはせず、窓にもたれたままぽつりぽつりと怒りを言葉にする。 「…ダイちゃんはさ、善彦といるの、嫌?」 「まさか。あいつ超面白いし。もっと前から話しときゃ良かった。って後悔してるくらいだから。」 前へ |次へ |
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