《MUMEI》

彼女とは、地元にある行きつけのバーで知り合った。俺の一目惚れだった。何より、その顔立ちが好みだった。

キリッとした涼やかな目元。日本人離れした鼻筋。雪のように白く滑らかな肌。柔らかい卵形の輪郭に、今時珍しい黒髪のセシルカットが妙にハマっていて、彼女の顔の小ささをより際立てていた。

キレイな彼女は、バーの常連客の中で当然の如く物凄い人気だった。俺以外にも、彼女に想いを寄せる男はたくさんいた。

他の男達に出し抜かれることに焦りを覚えて、出逢って間もなく誘った初デートの時、俺から彼女に告白した。

「俺と付き合ってくれないかな」

「いいよ」

あっさりとした言葉のやり取り。クールでモテモテの彼女だったから、玉砕覚悟で望んだにも関わらず、意外にも返事は即答で"YES"で、逆に俺の方が面食らった。

告白したその夜、俺達はそのままラブホテルに向かった。彼女は拒むことなくついて来た。初めて抱いた彼女の身体は柔らかく、華奢だった。ちょっと力を入れたらたちまち折れてしまいそうな程、細く小さかった。

ベッドの中の彼女は、クールな外見とは裏腹にとても淫らだった。一糸纏わぬ姿で俺の上に跨がり、喘ぎながら腰を振る姿に興奮した。

そのまま明け方までお互いの身体を貪った後、俺の腕の中で眠り込む彼女の美しい寝顔を見つめながら、まだ実感が湧かなかった。

あまりに事が上手く運びすぎて、現実味が無く、抱き合ったこの温もりさえ偽物なんじゃないかと疑う程に。

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