《MUMEI》

「瀧、生きてる?」


安堵して体から力を抜くと同時に、下の階からミツがヘルハウンドに跨がり上がってきた。


「生きてるっての、こいつもな。」


「あ、ミツ!」


だるそうに手を振る瀧と、笑顔で振り返る綾乃に、ミツも一瞬だけ目元を緩める。


「バフォメットもあのでかい音がしたら消えたよ、アイツ…一体何しに…。」


「挨拶、だとさ……。」

「完全になめられてんじゃん。」


ため息をつき、脱力するミツに、


『上の階から血の臭いがします、マスター。』


緊迫した様子でヘルハウンドが報告する。


二人は目線を交わすと、

「お前ここにいろよ!」

綾乃にいいおき、瓦礫を足場にワイアームの開けた穴から上階に出た。

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