《MUMEI》 ミレニアム・エネルギーA西暦40XX年。 「やったぞ!」 研究惑星にある巨大コンピュータ内部に歓喜の電波が響いた。それをキャッチした下級電子生命体が、データ内を飛び回る上級電子生命体に何事かと訊ねる。 「どうしましたか、ボス」 「ついに完成したのだ」 「完成……まさか超新星装置ですか!?」 「そう、それだよ」 超新星装置とは彼らが完成を目指していたエネルギー炉である。超新星を利用し莫大なエネルギーを生み出すことが可能であり、それにも関わらず星を一個破壊するだけという低コスト。まさに夢のような機関であった。 「やりましたね」 下級電子生命体も上級電子生命体と共に飛び回る。 「そうだとも、我々はやったのだ。これならばタキオン式瞬間移動装置を何基稼働させても余りあるエネルギーを人間住居星に供給できる」 言うまでもないことだが、現在はエネルギー不足の時代である。 超恒星装置がその実力を発揮したのはすでに過去の話。いくら半永久にエネルギーを生み出すとはいえ、一回で使える総量は決して多くはなかった。とどのつまり、莫大な量のエネルギーを作るために、幾つもの超恒星装置が必要になる。だが一つの銀河で作れる超恒星装置は資源の関係上限られている。 銀河間で超恒星装置の奪い合いが起こっている、というのが現状だ。 しかし彼らの発明によって、その問題はまさに解決されようとしていた。 「これで全銀河のエネルギー問題が解決するのだ。エネルギーを巡っての銀河間の争いなんて馬鹿げたもの、なくなるぞ」 彼らは明るい未来を確信した。 西暦50XX年。 人間と人間が生み出した生命体達は、慢性的なエネルギー不足に悩まされている。そのために、彼らの間では争いは絶えない。 前へ |次へ |
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