《MUMEI》

ぼふっ。



「…」



自室に戻ってきた雅俊は、通学鞄を降ろすことなくそのままベッドに倒れ込む。

ベッドと言っても下は収納で、その上に申しわけ程度の板が乗っていて布団をひいて使うタイプの簡単なもので、自分が倒れ込んで受け止めてくれたのは冬場に支給される羽毛布団と分厚い毛布、さらには親に持たされた兄のお下がりの半纏だ。

その上に帰ってきたまんまの格好でうつぶせて、今日一日の事を順に思い出す。



昼休みに山男に呼び出されて、

ソウに引き込まれて意識飛ばしかけて、

直後にソウランに入って、

兄も山男も魔法が使えることを知って、

自分も魔法が使えるみたいだと言うことを聞いて、

ジェイオルに吹っ飛ばされて、

スレシルとして覚醒…



ここまで思い出して雅俊は布団に突っ伏していた顔を横に傾けて大きく息を吸う。
自分はあの瞬間までは、スレシルになりそうだっただけで、スレシルでは無かった。
しかし、狙ったかのように覚醒した。



まずは自分に魔法をかけた。

それから、ジェイオルに対して魔法を使ってヤツから逃げてきた。

保健室で生田先生に背中診てもらって、

普通に授業を受けて、

放課後にもう一度ソウランに入って、

サプリに会った。

で、なんか厄介事を押しつけられるだけ押しつけられて、

山男をチャージして、




「…今か。」

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