《MUMEI》

「…足か?」



状況を察した二ノ宮が静かに話した。



「…」



ゆっくりと頷く阿久津。



「…マジか。」



二ノ宮はスコアを確認する。



「…大丈夫だ。


下がれ。


自力で立てるんだからヤバいケガではね〜だろ。


この試合は俺たちが何とかすっから。


明日出れる希望があんならそっち優先だ。」



「…」



言葉を発することのできない阿久津。


首を振って意志を示した。



「阿久津…


気持ちはわかるけど…


ここは退け。


大丈夫だ。


俺たちのこと信じろ。」



「…」



(いったい…)



阿久津の目には涙が浮かんでいた。



(何の為にここまで…)



そしてまた、


ゆっくりと頷く。

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