《MUMEI》
好きだから
(…苦しくなって来たか?)



あくまでも冷静に、


冷静に桜井は状況を分析していた。



(2点差とは言っても次はこっちの攻撃なわけだからこれを決めれば実数値は3だ。)



ヒュッ!!



奥本からのボールを受け取る桜井。



(この実数値が3である間は安全と言っていい。)



センターラインに聖龍フィールダー陣が集まる。



(離せればそれに越したことはない。


…けど、


後半ウチが点差を離したのは最初だけ。


流れだけを見ればその線は薄い。)



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



(初心に帰れ…


確実な1点。


これが俺たち課題だ。


最善の策は最良の1手。


高望みをして勝とうとする場面じゃない。)



「1本行くぞッ!!」



ボールは聖龍。

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