《MUMEI》
闇に舞う者
草木も眠る丑三つ時
月も厚い雲に覆われ
た暗闇の中、争う影
二つ。

時折鈍い音を立てて
激しくぶつかり合う
二つの物体は、片方
の力が圧倒的有利な
展開を見せていた。


《グゥガァァッ…何
故勝てぬ、こんな人
間の子供ごときに》


『クククッ…お主ごとき
がワシに勝とう等と
は、片腹痛いわ。ワ
シの正体も見破れぬ
雑魚妖鬼がな!』

暗闇での勝敗も着き
かけた時、厚い雲の
切れ間から輝く月が
二つの影の姿を浮か
び上がらせる。

荒く息を吐き、もぎ
取られた右腕から黒
い血を滴らせている
妖鬼と呼ばれた異形
の者。黒い身体に額
の部分にある角、耳元まで裂けた口、眼
は赤い光を宿してい
た。

もう片方を見れば、
一見すると中学生位
の人間の子供の様だ
った。しかし、ただ
一つ違っているのは
右目が金色に妖しく
輝きを放っている事
だろう。

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