《MUMEI》

.


「あ、俺…」


ドンドンドン…
激しくドアを叩く音。


「愛紗先輩?ど〜したんですか?」
留王の声。


「留王〜助けて。」


思わず、叫ぶ愛紗。


「愛紗〜ごめん、俺。」


敦が、愛紗に触れようとした。


「触らないで…」


敦は、頭を横に振り、鍵を開け、ドアの前の留王を睨み付け、走って逃げた。


留王は、愛紗の傍に近付いた。


「愛紗先輩、大丈夫ですか?」
まだ、微かに震えている愛紗に、自分のコートを掛けた。


「留王…」


「はい…」


「私ね、こんななんだよ…だから〜留王のモデルなんて、出来ないよ…ごめんね。」


愛紗の目から涙が溢れた。


留王は、フワリと笑って、愛紗の頭を撫でた。


「留王〜私は汚れちゃってるから〜絵のモデルなんか、相応しくないよ…」


「心まで、汚れてないでしょう?愛紗先輩は、美しいですよ。」


「……」


「まるで、アフロディーテのように…」


「プッククッ、どっから、そんなクサイ台詞を持ってくんのよ。」


「え?臭かったですか?マジ発言だったのに(笑)」


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫