《MUMEI》 . ガラッ… 美術室のドアを開ける。 「遅い…。」 「ごめ〜ん(笑)留王。」 今日から、モデルの約束だ。 「あのさ…これに、着替えて欲しいんだけど…。」 そう言って、留王は服を手渡した。 「??」 それは…白いワンピースだった。レトロな胸に切り替えのあるだけのシンプルな…。 着替えてながら…私は、不思議な感覚に戸惑いを感じた。 これ…昔〜見た事がある?…いつだっけ? 窓際の椅子に腰かけて…モデルをしながら…私は、記憶を探っていた。 「愛紗?どうしたの?」 デッサンしながら、留王が聞く。 「ん〜ね、留王?このワンピース、何?」 「ああ、母のですよ…モデルなのに、制服じゃ創作意欲湧かないでしょ?」 …お母さんの?私…これと同じようなワンピース、子供の頃〜着た記憶がある…なんで? そうだ!父に撮って貰った写真に…写ってた、あのワンピース!一緒だ。…流行りだったのかな? 「母は、洋服作りが趣味で〜そのワンピースも手作りなんですよ。」 「え?」 …手作りって…偶然なのかな…。 「愛紗?ワンピースがどうかしたの?」 笑顔で、聞く留王。 「ううん、なんでもない。」 …多分、偶然だわ、シンプルなデザインだし…。 私は、それ以上考えるのを止めた。 . 前へ |次へ |
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