《MUMEI》 . 窓の外から、サッカー部の練習風景が見える。 留王は、無言で絵筆を走らせる。 モデルって、ある意味…忍耐力を養うわ。 「あ、ふあ〜ぁっ…」つい、欠伸をしてしまう。 「うん?疲れたかな?ごめん、夢中になると時間感覚がなくなって…休憩しょっか?」 「や、大丈夫、大丈夫(笑)」 「何か、買ってくるよ、待ってて。」 そう言って、留王は出ていった。 春の陽射しは、ポカポカと暖かくて……。 誰かが、髪に触れた感触〜柔らかな息遣い… 「あい…さ…」 誰かが優しく私を呼ぶ。 「ん…お…とう…さん…。」 「いか…ないでよ。」 髪を撫でる手が、止まる。 再び〜眠りについた私が、目を開けた時には留王は、絵筆を走らせていた。 「あ、起きた?あんまりぐっすりだから、起こすの〜可哀想で…」 そう言って、笑った。 . 前へ |次へ |
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