《MUMEI》

.


コンコン…
「はい…どうぞ。」
留王の声がする。


「愛…紗…。」


「こんにちわ…どう?具合は…」


「あ、うん。大した事ないんですよ。」


「そう…良かった。」


「あのさ…愛紗、ありがとう。薬を…その…あの…飲ませてくれて…。助かったんだ、凄く…。」


「あ…や…うん(赤)」


「……」「……」


…話が続かない。


「あのね…」
私は、自分の気持ちを伝えようとした。


「私…留王の事が…好…」


「愛紗!」
留王が、私の言葉を遮った。


「これを…見て。」


留王が出したのは、一枚の写真。


「え?何これ…?!」


なんで、留王がこの写真を持っているの?
白のワンピースを着た私の写真〜お父さんが撮った、あの写真!


「どう言う事?」


「愛紗…僕は…君から父親を奪ったんだ。」


「??」


「その日〜僕は、発作を起こして病院に運ばれた。母は、慌て病院へ来ようとした。そして君の父親が、車で母を送る途中で…交通事故に遭った。」


「!?」


「母はその事故で〜車椅子生活になった、君の父親も大怪我した。そして、君の父親は責任を感じ、僕と母の面倒を一生かけて償うと決めたんだ。」


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