《MUMEI》

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「留王〜ちわっ。」
病室を覗く。


「あれっ?居ない。」


暫く待ってると、留王が帰って来た。


「あっ愛紗、来てたんだ。」


「うん。」


「もう〜ラブラブね。彼女〜あんまり、留王くんをドキドキさせないのよ、手術にひびくから(笑)」
若い看護師さんが、からかうように言った。


「あっ!看護師さん、それは…」
留王が慌て言った。


「手術…?するの?留王…。」
途端に不安になる私。


「あ、ごめんね、留王くん、彼女知らなかったのね。」
看護師さんは、急いで出て行った。


「や、お喋りな看護師さんだよな〜。」


「……」


「愛紗?」


「大丈夫だから…僕は…ねっ。」
優しく笑う留王…。


私は、上手く笑えなかった。


「……」「……」


何か話さなきゃ…
「あの…ね…」


「??」
留王が私の手を握った。


「愛紗…」


「うん?…」


「僕も、本当は怖いんだ…だけど…決めたから…君の傍に居るって…手術して〜健康になって…君と生きて行きたいから…応援して?」


「留王…うん…絶対に…負けないで…待ってるから…。」


留王は、ふわりと笑った。握られた手は力強かった。


手術が一週間後に迫っていた。


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