《MUMEI》
20.
20.

真理は街でウロウロしていた。
どうしたらイイのか、そして自分がした行動に動揺して何をしたらイイのか分からないでいたのだ。
そこに偶然に真理の高校時代の同級生、岡 絵理(オカ エリ)と再会したのだ。

絵理「あれ?!真理!?真理じゃない?」

真理はビックリした。

絵理「やっぱり真理だ。どうしたの、こんな時間にウロウロして?」

真理「あっ!いや…」

絵理は何かを察したのか直ぐ話しを切り替えた。

絵理「久しぶりに会ったんだから、お茶しようよ。」

真理「…う、うん。そ、そうね。」

二人は近くの喫茶店に入っていった。


香 がタクシーで 丈 のアパートに着いた時に救急車も同時に到着した。
香 がタクシーの中から119に電話して救急車を要請したのだ。
香 は祈りながら 丈 の部屋のドアを合鍵で開けた。
香 は直ぐ部屋に入り、その後、救急隊の人達も部屋に入って来た。
香 は 丈 が横たわってる姿を見て、そして 丈 の胸に包丁が刺さってるのを見て、その場にしゃがみ込んでしまった…
救急隊員が直ぐ 丈 の所に歩み寄り 丈 の脈や瞳孔を診た。
救急隊は 香 の顔を見て首を横に振った…
その後、救急隊員が警察に電話をした。
香 は泣きながらキッチンに向かった…
丈 の姿を見ているのが凄く辛かったのだ。
香 がキッチンにあるテーブルに、ふと目を向けると遺言書と書かれた封筒を見付けた。
香 は動揺してたのかもしれないが、その遺言書と書かれた封筒を手に取り直ぐさま仕舞ってしまった。
暫く立たずんでいたが 丈 が居る部屋へと向かった。
丈 が横たわってる直ぐ横のテーブルに遺書と書かれた紙を見付けて、その遺書を読んだ。
その時、警察の人達が部屋に入って来た。
その後からスーツを着た刑事らしい人が2人、部屋に入って来た。

轟刑部「土日警察署から来ました轟と申します。」

牧刑事「同じく牧です。」

轟刑部「えっと、あなたは?」

香「私は安野さんの恋人の伊井 香 です。」

轟刑部「伊井さん、今から現場検証をしますので、こちらのキッチンのテーブルに座って居て下さい。」

香「あっ、はい…」

直ぐに現場検証が始まり物々しい雰囲気が漂った。


絵理「本当に久しぶりね〜何年ぶりかしら。」

真理「ええ、そうね何年ぶりかしらね…」

絵理「ねぇねぇ、真理は結婚したんでしょ。」

真理は結婚って言う言葉に動揺した。

真理「ち、ちょっと前に離婚したわ…」

絵理「えっ〜!?そうなの!?なんで離婚したの?旦那さんの浮気?」

真理「…違うけど、まぁ何でもイイじゃない。」

絵理は怪訝に思いながらも口には出さなかった。

絵理「先っきは落ち着かない様子でウロウロしてたけど、何かあったの?」

絵理は、またしても嫌な質問をした。

真理「ん…いろいろ。」

真理は、まだ動揺していたので適当な言葉が思い付かなかった。

絵理「私は今、風俗で働いてて、部屋も借りて貰ってるの。その方がお金も貯まるしね。」

真理は絵理の言葉に引き付けられた。
何故なら真理は今、仕事も部屋もないのでマンガ喫茶とかで寝泊まりしていたからだ。

絵理「やだ〜真理ったら〜前に乗り出して真剣に聞かないでよ〜。なに?興味があるの?」

真理「ねっ!お願い!私にも紹介して。」

絵理「真理…本気で言ってるの?」

真理「うん。本気よ。」

絵理「分かったわ。とりあえず私の部屋においでよ。」


轟刑部「伊井さん、いちおう終わりましたが、これは自殺ですな。」

香「えっ!?自殺…そんな訳ないわ!自殺なんて何かの間違えよ!」

轟刑部「まぁまぁ、落ち着いて下さい。まだ断定ではありませんが、遺書もありますし…」

香「そんな事、有り得ないわ! 丈 は私と結婚するつもりだったのよ!」

香 は、その場にしゃがみ込んで激しく号泣した。



つづく

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