《MUMEI》 「結局… 今の試合の勝者はどっちだったんでしょうね。」 ロビーを歩くクロたち。 前ぶれもなく椎名がそう漏らした。 「何言ってんだお前。 聖龍が勝ったじゃね〜か。」 「そうですけど… あそこで千葉さんが倒れてなければ、 勝者はわかんなかったんじゃないすか?」 「…」 全員が考え込む。 が、 「たらればで話始めたらキリがない。」 クロは冷静にそう答えた。 「二ノ宮の得点が伸び悩んでた時点で聖龍が本調子だったとは思えないし、 阿久津の退場だって聖龍からしたら逆境。 仮に海南が勝ってたらそういう風に言ってる奴だっていたはずだよ。 最終的に勝った奴らが勝者。 それ以上でも以下でもない。」 そこまでクロが言った時だった。 「いや〜、 ホントその通りですね!!」 その場には相応しくない、 テンションの高い声が上がる。 それは観客席から、 クロたちに見向きもせずただ言葉だけを漏らした男がいた。 「負けた奴の言い訳は見苦しい。 それを代弁して好い人ぶってる奴も同じくらい見苦しい。 勝った奴が勝者。 それ以上でも以下でもない。 まさにその通り。」 クロたちは足を止める。 「だからさ〜、」 男はクロたちの方へと顔を向ける。 「俺たちに負けた後にそういう言い訳は勘弁な!!」 声の主は、 「要どっちか…」 「大地だ大地!!要大地!!」 赤高の次の大戦相手、 秀皇大附属高校右サイド。 要大地。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |