《MUMEI》

「だぁ〜っちぃ〜っ!!!!!!」



ランニングを終えた選手たちが次々と戻って来る。



「あれ?クロさんは?」



クロがいないことに気付く関谷。



「ちょっと用があるとかで…」



答える佑香。



「なにぃ〜!?
俺らだけ走らせて何てコーチだッ!!」



「普通コーチは一緒に走んね〜だろ。」



「…どこ行ったの?」



「さぁ…?」



全員が戻ったところで、


柔軟が始まる。



「お。


ちゃんとやってんじゃん。


関心関心。」



少しして戻るクロ。



「どこ行ってたんすか〜!?」



「別に?


つかそろそろハーフタイムだし、


中入ってテーピング巻いてよっか。」



「超マイペースだよこの人ぉ〜!!」



「さッ!!行くよ!!」



「は〜い。」















……………















クロは、


普段と変わらない様子で話していた。


彼らの緊張を取ることや、


自分の緊張を伝えない為。


勝負は前半。


そう言ったクロの作戦は、


既に始まっていた。

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