《MUMEI》

県営武道館。


通路。


試合を終えた聖龍高校の選手たちが、


観客席へと向かっていた。



「ケガは?」



「まだ痛みはあるけど、
さっきよりはマシって感じかな。」



先の試合で負傷を負った阿久津。


若干歩きづらそうな様子であった。



(…さっきよりマシね。


さすがにこの短時間でそれはないな。


明日の決勝に出たいが為の嘘か、


あるいは痛みに慣れてきただけ。


もしくはその両方か…)



「どした?」



「ん…いや…」



(どっちにしても決勝に出れるかもしれないって希望は回復への近道。


一晩経てばどっちに転ぶかわかんね〜んだし、


明日は無理すんなとか…


余計なことは言わない方がいいな…)



選手たちの表情は、


決して明るくはなかった。


勝者の顔とは思えないほどに。



(何とも…
後味の悪い試合だったな…)



そう思っていたのは桜井だけではなく、


聖龍の選手たち全員がそう思っていた。



(千葉…か…)

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