《MUMEI》

恭介がアップのキーパーを務める中、


本職の村木は入念に柔軟を行っていた。



ボソッ…



「バレんなよ。」



「…うす。」



入念すぎるほどに。




「で?ビデオと比べてど〜よ?」



アップを見守るクロが、


その隣に立ち、


視線を合わせることなく尋ねる。



「…だいたい同じ。


良く投げるコースはビデオ通り。


シュートスピードはビデオ以上。」



「にゃるほど。
修正は効く範囲の誤差だね。」



「…」



「また黙りか。」



「…」



「キャラが崩れないね〜キミは。」



「…」



(あんたほどお喋りが得意じゃないんだよ…)



バスッ!!



「ナイッシューッ!!!!!」



「入れられてんじゃね〜か恭介!!」



「ば…お前名前で呼ぶなよッ!!」



(何の為にだよ…)

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