《MUMEI》

「クロさん。」



手を上げる峰田。


まるで授業だ。



「何?」



「速攻止める=相手の攻撃止める。


ではないじゃないすか。


相手のセットプレーに関してはどうなんすか?」



「うん。


いい質問だね。


速攻止めてこっちのボールにならなかった場合、


向こうのセットに対応していかなくちゃならない。


これは啓太をスタメンに置いた理由と繋がって来るんだけどさ、」



「「!!」」



沖・そして久保の表情が変わる。



「ホントはスタメンは千秋と啓太で迷ったんだけどさ、」



「ちょっと待った!!!!!」



話を遮る沖。



「ん?」



「俺は最初っからスタメン落ちが確定してたってことすか!?」



「うん。そうだよ。でね…」



サラッと流し、


話を戻そうとするクロ。



「何でですか!?」



「ちょっと黙れよ。


今は啓太をスタメンに置いた理由と相手のセットについて話してんの。


お前をスタメン落ちさせた理由はまた別。」



「ゔ…」



黙る沖。



「話戻すよ?
…っとどこまで話したっけ?」



「千秋と久保で迷ってたてとこです。」



「あぁ…そうそう。


そこで迷ったわけだけど、


秀皇はこれまでの試合でセットプレーが極端に少なかった。


だからさ、


正直どんなプレーで来るか想像つかない。


秀皇大でやった時とはスタメンが3人も違うし、


セットの場合誰が中心で攻めて来るのかわかんない。


だから千秋には序盤相手のセットプレー、


できればその全体図を観察して欲しいわけよ。」



「!」



反応する千秋。



「もし凄いシューターがいるのであれば即潰せるように。


とにかく相手の動きを見る。


セットの対策はそれから。


だから消去方で啓太がスタメン。」



選手たちはさらに話に聞き入る。


点であった説明が、


徐々に徐々に線で繋がれる。

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