《MUMEI》

「ディフェンスに関してはこんなもんかな。


セットの情報が少ない分おおざっぱな部分が多いけど、


ま、その辺は勘弁して。


後で修正するし、


そう簡単に得点やらない対策は積んでるから。」



(これでかよ…)



まだ話は半分。


だがクロの言葉に選手たちは、


確かな希望を抱き始めていた。



(何でスタメン落ちなんだよ…)



1人を除いて。



「さて…
じゃあオフェンスについて話そうか。」



クロは一口飲み物を口にし、


話を続ける。



「向こうのディフェンスは堅いよ。


元々戻りを優先させてきたチームだけあって、


隙は少ない。


ロングを打とうとする選手には容赦なく突っ込んで来る。」



全員が頷く。


以前試合をした際にも、


その点は強く感じていたのだ。



「ガチガチに固めてるディフェンスの穴を付くのにダブルポストも有効かなって考えたけど、


両サイドのスピードを考えるとそれはかなり危ない賭けだね。


日高と関谷は常に走り負けれない状況下にあるわけだし、


サイドを使ったフォーメーションは選択肢から除外かな。」



「大丈夫っすよッ!!」



声を挙げる関谷。



「何が?


根拠がないじゃん。


相手の実力に呑まれないのは大事なことだけど、


それは過信しろって意味じゃないよ。」



「ぐ…ぬ…」



すぐに黙る。



「どうしても得点が欲しいのであれば速攻で取るんだね。


セットからお前らに点を取らせる余裕がある相手じゃない。」



本来なら、


フォーメーションを使わずとも45からパスを出せば日高と関谷にシュートチャンスはあるのだが、


クロはあえてそんなチャンスはないというような言い方をした。


それも1つの作戦。


相手が速いからと言って速攻のチャンスがないとは言いきれない。


赤高の攻撃の際、


2人には常に速攻を意識して欲しいからこそそういった言い方をクロは選んだ。



「ま…


上3人とポスト中心に攻めるのであれば…


トリッククロスが有効かな。」



「…はい。」

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