《MUMEI》 「トリッククロスなら動きながらのフォーメーションだから撹乱にもなるし。」 はっきり言ってしまえば 『撹乱程度にしかならない。』 という言い方の方が適切であったが、 ここでもクロは選手たちのモチベーションを意識した言い回しをしていた。 「そして… さっきの試合から秀皇はとんでもない情報を僕に提供してくれてる。」 「とんでもない情報?」 「翔院戦。 スコアは19対34。 これだけ見れば秀皇の圧勝なわけだけど… 実はここに致命的な落とし穴がある。」 「致命的な落とし穴?」 いちいちクロの言葉を繰り返す選手たち。 「翔院はトータル19点取ってるわけだけど、 実はこの内12点は前半で取った物。 さらに言えば前半12点の内7点は試合開始から10分で取ってる。」 「えッ!?」 その情報に全員が食らい付く。 「それどういうことすか!?」 「スロースターターってこと?」 「いや違う。 むしろ手を抜いてたのは後半だったように見えた。 勝ちを確信して適当にやってる高校生っぽさがぷんぷん匂ってたもん。」 「なんじゃそら!!」 「や…わからんでもない…」 「じゃあ序盤は全力ってこと?」 「それじゃ話が噛み合わね〜よ。」 それまで大人しく話を聞いていた赤高選手陣だが、 急に落ち着きがなくなる。 「そうなんだよね… 僕も最初は意味がわかんなかった。 だけどね、 恭介の話聞いてわかった。」 「どういうことなんすか!?」 「前半の失点率の高さ。 それはね。 キーパーのせいなんだよ。」 「キーパー!?」 ハモる一同。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |