《MUMEI》

「序盤は情報と答えを合わせられる…


だから序盤には点を取れる。


そう思ってんなら甘いよ。」



「何でですか…?」



「…もうあいつの答え合わせは終わってる。
練習会ん時に既にね。」



「あ…」



「あいつの前でお前らは既にまる裸。


癖もそうとう盗まれてるだろうね。


よってこっちの攻撃は難しい。


と、


いう展開になりかねないわけだけど、


その情報がわかってんなら打てる手はある。」



「?」



「情報のない選手を入れる。


そしてそいつにシュートを打たせる。


これで上野は情報を探らなきゃならない状況に逆戻り。


これが啓太投入の2つ目の理由。」



「なるほど…」



「さて…


そろそろ話まとめるよ。


まずは啓太で得点を稼ぐ。


得点が止まったら千秋を投入。


この時点で相手のセットプレーを見る必要性があるよ。


その為にサイドは絶対速攻を止めなきゃならない。


それと啓太の情報を隠しつつ得点を重ねる為にトリッククロス。


この間サイドは全プレー速攻を狙う。


だいたいオッケー?」



「はいッ!!!!!!!」



全ての点が、


1つの戦で結ばれる。


今回の試合について考察が多く、


ミーティングの時間が長かったのは、


それほどの相手との対戦という証明。


だが確実に、


勝利の可能性があるのだということを、


選手たちは改めて認識していた。


しかしそれでも、


納得のいかない男が1人…


まだ、


全ての点が結ばれてはいなかったのだ。



「クロさん…」



「ん?」



「俺出番ね〜の…?」



「まさか。」



「え?」



「この試合、


お前は相手にとって最大の驚異になるよ。


間違いなくね。」



「俺が!?」



「うん。冗談抜きに。


皆も終わった時お前がいて良かったって思うだろうね。


ただ切り札を最初っから見せるバカはいないだろ?


それがお前のスタメン落ちの理由。」



「俺が…切り札…」

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