《MUMEI》

「ひぁっ///…すみません」

風呂から上がった後、水浸しの泡だらけになったバスルームを掃除していたアキラの濡れた後ろ髪を撫でると、彼はくすぐったそうに身をよじった。

「別に怒ってはいないぞ…手伝おう」
「そう…ですか」

案外二人で掃除すると結構早く片づいてしまうもので、終わりにシャワーでバスタブの中を綺麗に流していたアキラを眺めていると…日本での事を思い出してしまった。

「どうしたんですか///」
「…いや、このまま」

後ろから抱きしめると、風呂上がりのいい香りのする耳の後ろや首筋にキスをする。

アキラはそのまま俺の腕を抱きしめると、頭をもたげて肩に寄りかかって久しぶりに甘えてきてくれて俺もそのままこの感覚を甘受していた。




リビングに戻ると水割りのウイスキーを片手にジェイミーがこっちをじっと見つめていた。

「くるみは?」
「着替えさせようと思ったらさ、もう一人でできるって言って追い出されちゃったよ」

最近5歳になったくるみは何でも一人でしたがるようになってしまった。

手を放れるのはいいのだが、これからそうなると思うと少し寂しくなってしまうような気もした。

「お前、未成年じゃないのか?」
「ツァオ(うるさいな)…こん中じゃ一番年長なんじゃない」
「そうなのか?」

そう言えば年齢を聞いてはいなかったが、ジェイミーは俺より年上だったのか…。

アジアは若く見えると言うが、これじゃあまるで高校生くらいの若造が粋がっているようにしか見えなかった。

「ジェイミー、何飲んでるのぉ?」
「ひとりで着替えて来たかおチビさん」
「チビじゃないもんッ///」

部屋から寝間着に着替えたくるみが出てくると、チビじゃないと言いつつその手にはプレゼントされたアキラの手製のぬいぐるみが握られていた。

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