《MUMEI》

赤高ベンチ。



「ここまでやる必要あったんすかクロさん?」



戻ったユキヒロがクロに尋ねる。



「もちろん。


ウチが練習試合以外でスタメン変わるのは初めてだからね。


違和感は感じさせたくないし。」



「だからって包帯まで巻く必要は…


ちょっとやりすぎなんじゃ…」



「細かい演出が大事なのだよ。」



「そうかな〜...
ばんそうこうでも貼ってりゃいいじゃん。」



「俺そんな軽傷でベンチになっちゃうの!?」



「まぁ…実力的に言えば…」



「おぉいッ!!!!!」



「バカ。騒ぐな。
せっかくの仕込みが台無しになんだろ。」



「いっ…いたたたたッ!!!!!」



(大丈夫かホントに…)















……………















「ビーッ!!」















……………















会場に鳴り響くブザーの音。













……………














「…さて、時間だよ。」



「うっす。」



「じゃ、円陣組もうか。」

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