《MUMEI》 「……どうか、した?」 様子がおかしいとエイジを見上げてくるアリスへ 唇が触れる寸前まで近く寄せながら 「……お前がしてる事全部吐け」 今更に説明を乞うた 改めて説明を求められたソレに、アリスは瞬間虚をつかれた様な顔 だがすぐに破顔し 「何で、聞こうとしてくれる訳?」 「は?」 「……本当に、あなた、優し過ぎるよ。困る位に」 言葉通り困った風な笑みをエイジへと向ける そして頬へと手を触れさせながら 「あなたなら、救ってくれるかもしれない。僕も、世界も」 まるで願う様に エイジの身体へと腕を回した その存在を求めながら、だがそれ以上語る事をしようとはしない様子に 溜息をつき肩を落とした どうやらそれ以上は聞かずにいてくれるらしいエイジに アリスは苦笑ではないソレを向けてやりながら 「じゃ、もう行こうか。もう一つの鐘を捜しに」 エイジの腕をやんわりと解き、改めて身支度を始める アナタも支度したら、と告げてくる後ろ姿にはもう何の動揺も見受けられない 「……ま、らしいといえばそうか」 先を歩いて行ってしまうアリスの背を眺め 苦笑を浮かべると、エイジは何を言う事もせず アリスの背を追ったのだった…… 前へ |次へ |
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