《MUMEI》

「…何回も話してきたことだけどよ。」



中央ラインに並ぶ赤高。


秀皇が試合球を触っている間に、


ユキヒロが口を開いた。


特定の誰かに話していたつもりはなかった。


ただ感じていた意気込みを、


そのまま言葉にしようと口を開いたのだ。



「赤高ハンド部の歴史上、


最高順位はベスト4まで。


クロさんたちの1個上の代と、


翔太さんたちの代だ。」



チームメイトはただ、


その言葉を黙って聞いていた。



「俺たちもここまで来たんだ…」



ヒュッ…!!



秀皇から赤高にボールが投げられる。



「準備はいいね?」



審判が尋ねる。



コクッ…



頷くユキヒロ。



「だけどここで終わるつもりはない。」



審判がオフィシャルに確認を取る。



「新しい歴史を切り開くのは…」



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



「…俺たちだ。」



高校総体準決勝第二試合。



赤城北高校対秀皇大附属高校。



「ぜって〜勝つぞぉッ!!!!!」



開戦。

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