《MUMEI》
神より上、絶対なる者5ー4
「…本当に手に負えない奴だ…仕方ない…私を怒らせてしまった奴には天災を下そう『ラグナロク』を……。」
「それはできないはずだ。ラグナロクは禁止にすると言ったのはお前だろうがっ」
「…。問題無い、別に世界を破壊するわけじゃないからな…」
ゼウスは手を天に向け言った。
「『我が名はゼウス、これより射程を定めたラグナロクを使用する。標的はカオス』…これで終わりだ…カオス…。」
「……。」

「どうなってるんだ天雷風山市は。我が子たちが暴走を起こしたのか?。
どう対処する?」
何処かの一室、空中に浮かび上がるモニタを見る男は言った。
男が見ているのはカオス(フロップ)とゼウス(帝弩)の戦いだ。
どうやら天雷風山市の人工衛星か何かで見てるらしい…。
男はモニタで何かを探した。
「フッ、これならどうにかなるか…。」
男はモニタの電源を切る。

「俺を殺したら世界がどうなるか知らないぞ」
「…知ったような口を言うな…お前などただのオモチャに過ぎん、人間の方がよっぽど有能だ…。」
「俺よりも人間の方が有能?馬鹿言ってんじゃねえぞゼウス」
「…あと5分でラグナロクが発動する。…言い残す事は?」
「テメェも一緒に連れてってやる」
「させないっ!!」
遥下地上に居る金慈が大声で言った。
普通では大声で言ったところで声は届かないのだが特殊な空間と化した第11区は声が見えない壁に反響するかのように響くのだ。
「…原丘 金慈か?テメェみたいな人間に何ができるんだ?」
カオスが問う。
すると金慈はもう一度言った。
「させない。」
一方、ゼウスは膠着していた。
人間に…。

鳴水 華絵美はアニゲランドで遊んで帰ろうとしていた。
「やっぱ、ストレス解消になるなここ」
ゲームセンターから出ると外が騒がしく外にいるひとは皆、同じ方向を見る。
「一体、何の騒ぎ?…??!」
華絵美は絶句した。それはゲームセンターに入る前までにはあったはずの完全に崩壊した第11区の姿をみたからだ。
「一体何が起きているの?」
華絵美は走った。

「シーソード…。」ゼウスはつぶやく。
「うっ」金慈は突然たち膝になって丸み込み唸る。
意識が朦朧とする。
(なっ、なんなんだ頭が酷く痛む。何かを忘れてるようなそんな感じが…。うっ、まただ。……はっ?!……なんだ……そうか、そういう事だったのか…俺はこの都市に来る前にSPCの『騎士天使計画』の実験台にされて…だめだこれ以上は思い出せない。…またかっ、さっきよりも…)
金慈はこの世のものとは思えないほどの奇声を発した。
「一体何が?」カオスは言う。
ゼウスは言った。怯えた声で…。
「あっ、あいつは…全ての界を束ねる神王直属一の大天使レテノマ・ルトクラシュの器だ…起してしまった…。」
「お前が神王じゃないのか?」
金慈の奇声が鳴り止み、背中からゼウスよりもでかく、長い翼が現れた。
黄金に輝く翼は一つ一つが小さく数は108。
「現在状況を確認中、…確認完了、神同士が人間界で戦闘をし、ラグナロクを発動。
起動までの残り時間は317秒、手元にある武器が使用できるかどうか確認、…使用可能、シーソードと分析、この武器を使用しての完全な戦闘終了までの推定時間30秒、実行内容を確認、神二体、ゼウスとカオスの停止と、ラグナロク発動の阻止。
これより実行内容を開始します。」
金慈の声には感じられなかった。男か女かも分からない程の余りに冷酷な声。
音速でゼウスとカオスのいる空中まで飛び、『あなた方を封印します。』とだけ言うとシーソードで斬りかかる。

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