《MUMEI》
とっぷり日も暮れ、よく遊んだ。歌いすぎて喉が痛い。
今日は久しぶりにエンジョイして幸せだ。水瀬を家まで送り、鼻歌なんか歌いつつ家路に向かう。
曲がり角で黒いセダンが脇に止まっているのを見た。この車、早紀さんのだ。
窓から早紀さんが見えた。誰か助手席に乗り込むようだ。
男だ。早紀さんは強引に男の手を引いた。
一瞬の出来事だった。
扉が開いた瞬間、彼女は男が乗り込むより早くキスを交わしたのだ。
俺は遊園地で観覧車を乗りたい人がいると言った彼女の顔と今の姿を投影していた。
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