《MUMEI》 一日目、出逢いバイト先は自宅から徒歩30分ほどの場所にある。俺が家を出て10分ぐらい歩くと、携帯が鳴り出した。 件名:千鶴だよーん 本文:今日から一緒のバイト先だねw イケメン多いから、期待しなよー( ´∀`) ハハハ、千鶴らしいな。 俺は笑いながら携帯を閉じ、iPodの音量をあげ、軽く鼻唄を歌いながら歩く速度を早めポケットに手を突っ込んで歩き出した。 ぼーっとしながら、歩いていればいつの間にかバイト先についていた。 俺は、バイト先の外にある喫煙所に軽く座り込み煙草に火をつける。すると中から店長が出てきて、にやにやしながら俺に言う。 「あれー?瑞季、お前未成年じゃなかったっけー?」 「いやっすねー、店長。俺はぴっちぴちの16歳っすよー?」 と、俺もにやにやしながら返してみる。店長が大笑いした後に、 「まぁ、見つかんなきゃオッケーだろ」 と、笑いながら言うのだ。俺は内心、店長がそれじゃ駄目だろ…、と思うものの、店長公認ならまぁ大丈夫かと深くは突っ込まないでおいた。 煙草も吸い終わり、俺は店の中に入る。店に入った瞬間には千鶴と目が合う。 「瑞季、おはよ」 「はよーございます」 俺は千鶴に軽く頭を下げ、事務所に向かいタイムカードを押す。今の時間はPM15:00。今日はPM18:00までのシフトだった。 俺は自分の制服に袖を通し表に出る。 「遅かったねー?」 表に出た瞬間に千鶴に声をかけられる。 「ん?バイトなんて五分前に来てれば余裕だろ?」 「まぁ、そうだけどねー」 千鶴は笑いながら言う。千鶴と俺は小学校からの付き合いで、結構色々相談にのってもらってるし、千鶴からの相談もうけている。まぁ、親友と言うやつだ。俺が中学の時、性格、容姿のせいでいじめられていた時期もこいつだけは側に居てくれた。回りに流されずに。俺はそんな千鶴が大好きだったし、千鶴も俺を好きだっていってくれる。まぁ、同姓なのがたまに傷ってな感じ。 「ってか、本当に瑞季って男っぽいよねー」 「今の話の流れで関係あったか?その話題」 「んー、ないね」 と無邪気に笑う千鶴。ほんっと、天然だなこいつは。 「でも、彼氏の前だと乙女だもんねー、瑞季は」 「乙女じゃねぇし、キモいことゆーなや。」 と無駄話をしながら仕事をする。気がつけば俺の上がりの時間も近くなる。 前へ |次へ |
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