《MUMEI》
一日目、出逢い
そんなことを考えながら店の方に出れば、俺はミルクティーを手にとりレジへ向かおうと、レジの方を見る。そこでは、千鶴と立花さんが無邪気に笑い合う姿があった。

おっと…、こりゃ、勝ち目ないわ…。

そう、俺はとっさに思った。

「千鶴、わりぃけどレジやってよ」

二人の雰囲気を壊さないように注意しながら俺は千鶴に声をかける。

「あぁー、ごめんごめん。」
「いやいいけどさ。ちなみに楽しそうだったけどなんの話してたん?」

俺は、さりげなく聞いてみた。やっぱり少し気になる。…いや、大分だな。

「んー、瑞季の話」

千鶴の答えに俺は一瞬ポカンとした。

「はぁ?俺?」
「うん。瑞季が小さいときの話とか、瑞季が彼氏の前だとどうなるかとか。」

千鶴は楽しそうに言うが、俺は楽しくない。多分、こいつは俺が彼氏の前だと乙女になるとか言ったに違いない。

「瑞季さんって、見た目によらず可愛い人なんですね」

やっぱりか…。立花さんも^^的な顔で見ないでください…。いたたまれない…。

「や、こいつがいったこと本気にしないでくださいよ。俺が乙女とかあり得ないっすから」

俺は鞄から財布を出しながら言う。が、顔からしてこの人、俺の言い分は信じてねぇな…。まぁ、もういいや…。

「後、煙草。」
「瑞季何吸ってたっけ?」
「あれ、知らなかったっけ?マルボロだけど…、えーと…51番…かな?」
「かずくん、51番とってー。」

立花さんは迷いなく、マルボロを取って千鶴に渡す。

「あれ?かずくんもこれじゃなかったっけ?そういえば」
「んー、そだぉ。」

と笑いながら立花さんは答える。

「へぇ、こんなくせある煙草吸ってんすね」
「いやいや、瑞季さんに言われたくないから」

いや、ごもっとも…。俺は苦笑いを浮かべた。

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