《MUMEI》

ラント修道師がサル
タンの手の中の遺言
書に手を伸ばす。

そして封書の中から
数枚の紙を取り出す


『一枚は大修道師長
様直筆の遺言書です
。自ら服毒した事実
が記されています。

そして…残りの二枚
が、コレです。』

そう言って、机の上
に二枚の紙を広げて
置いた。


『コレは…白紙?』

他の三人は、机の上
に置かれた紙を見つ
め呟いた。

文字の書かれた紙に
比べセピア色に変色
した二枚の紙。

『いえ、完全な白紙
ではありません。こ
こを見て下さい。』

ラント修道師が、紙
の隅を指差した。

そこに書かれた文字
は…

一枚には(水濡れ厳
禁)とあり、もう一
枚には(火気厳禁)
と記してある。


『なんだ、こりゃあ
?』

素っ頓狂な声を挙げ
たサルタンにラント
修道師が頷く。


『ね、変でしょう?
意味不明ですよね、
そもそもこの二枚を
大修道師長様が入れ
ていたのか、どうか
怪しいもんです。』


『確かに変だな。
遺言書を水や火に近
付けたりする馬鹿は
居ないはずだ。…そ
れをわざわざ注意書
きしている意味はな
んだ?』

ケインの呟きにサル
タンとラント修道師
が確かに、と頷いた

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