《MUMEI》

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………アイツは………




「嘉くん!?」




事務所の前にいて、こっちを見据えていたのは




俺に告白して来た変なゲイヤロー。

…なんで此所、知ってんだよ



まあ、いいや















俺は金が絡まない限り、男に恋愛感情なんて見せる気はない。




「どうしたの?」


でもコイツの馬鹿みたいな必死さに、




「前に敦之さんが、此所から出て来るのを見たことあったから……」


「迎えに来てくれたのか?」


「うん…」



















突き落とし甲斐がある





って思った























「此所で…バイトしてるんですか?」
「まあね。掃除とか、窓磨きとか」





質問してくる真剣な瞳も















「手でも繋ごうか?」


「いッ…!いいですよそんな…敦之さんに迷惑でしょう?」








照れて赤くなる頬も




















「嘉」

「ン…!?」












唇に唇を触れさせてやれば、コイツはそれが鼓動を速くするスイッチだったみたいに

ドキドキしてる

































「…好きだよ」


嘘を吐く自分も







全てが


















馬鹿みてー、だ。














「じゃあね」



嘉を家まで送り届けてヒラヒラ手を振る。







あっちからこっちの姿が見えないだろうな、ってことを確認したら













「……ぷッ…」




ワイシャツの袖で唇を拭ってから

唾を吐いて











今度こそ我が家に向かった

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