《MUMEI》

酷く眠い映画を見せられた後、光が体調を崩したので部屋で寝かせる。
俺は一人、飲みに出て行くことにした。
久しぶりの一人飲みは虚しい……一人じゃなくなったことが身に染みた。
たまに声を掛けられるので覇気を出すようにしておく。

「こんばんは。うわ、怖い……」

確か、颯太さんだ。


「コンバンワ。」

「お邪魔していいですか?」

「もう、座ってるじゃないですか。」

辛く当たりすぎたか?


「お話したくて、止めときますか?面倒臭いと顔に出てますが。」


「目付きは元々悪いんですよね。」


「そうですか?サングラス越しだからわかりません。」

サングラスを外してやった。


「ほら、満足か?」

至近距離で敵意剥き出してしまった。


「……はい。大好きです。」

「…………そうなの。」

光ごめん、お前の大好きな颯太さん……盗っちゃったみたいだ。

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