《MUMEI》
橙色
ー新しい日々ー

まだ桜が散っている頃、私は始業式を迎えようとしてた。
ー始業式当日ー
「愛美ー!まだ寝てるのー?中3なっていきなり遅刻はやめてよねー!!」優衣の声が聞こえる。おそらく玄関先からいってるのだろう。
「今行くから!」そう私は20分もの大寝坊をしたのだ。
完璧、優衣は怒ってっる。パンを一切れ口に含み外にでた。
「ごめん。優衣。」ちょっと不機嫌な優衣は「いいよ!いつものことだし!」
優衣は結構サバサバした性格で細かいことは気にしない。でもそんな優衣が私の親友で良かったと心から思ってる。
「ほんとごめん。」
「愛美ったらしつこいよぉ!ってか早く行こ!」
「うん!」
息を切らしながら必死で走った。いつもなら歩いてるこの道。走ってみるといつもとまた違って見える。

「ハァー。ハァー。」
やっと校門の前に着いた。だが虚しく校門は閉められていた。時間をみると8:50。始業式は8:30からだ。中3最初の遅刻は中3になって初めての登校日なんて・・・。
「ごめんね。優衣。」
改めてとんでもないことをしたと実感し謝った。
「いいよ!それに私達だけじゃないみたいだしね!」
「えっ・・。」
優衣の視線の先には1人の男の人が走ってこっちに向かってくる。恐らく高校生の先輩だろう・・・。
ちなみに私が通ってる学校は中高一貫なのだ。
その彼は私達を見て『もう遅かった。』と気付き肩を落とした。
するとその彼は
「優衣も遅刻したんだ!」
「うん!」
「何?優衣の知り合い?」小声でそう聞いた。
「紹介するね!この人は植松寛斗。通称ヒロ。ヒロは高2。私とは家が近所ってこともあって、まぁ幼馴染ってやつ?」
全然知らなかった。優衣とは中1からの付き合いだけどそんな知り合いがいたなんて・・・。
「んでこっちが田所愛美。私の親友。ほんといい子なんだ!」
「よろしく!愛美ちゃん!」
「こちらこそよろしくお願いします。ヒロ先輩!」
「愛美!こんなんに先輩なんて言わなくてもいいんだよ!」
優衣が呆れた顔で言った。
「でも先輩だから。」
「愛美ちゃんはいい子だね。どこかの誰かさんと違って!」
「何?ケンカ売ってんの?」
2人の間には2人にしかわからない何か“特別な空気”が流れていた。ちょっとうらやましい。そう思った。
あっ!もしかして・・・

ー中2の頃ー
優衣が
「私の好きな人はね。年上でむちゃ優しい人なんだ!」

確かそう言ってた。
もしかして優衣の好きな人ってヒロ先輩なんじゃ・・・。

「おい!そこの3人。何してんだ!」
矢野先生だ。通称やのっち。
「遅刻しちゃって。」
ヒロ先輩が答えた。
「いいから早く体育館に行け!」
いつもは無駄に熱血なやのっちなのに・・・。
ちょっと驚いた。

始業式が終わった。
待ちに待ったクラス発表。
私は3−2組。
優衣は3−1組。
私のクラスにはそんなに仲がいい子はいない・・。
指定された席に座っていた。
すると・・・
「愛美も2組だったんだ!」
「凌!」
藤堂凌。凌とは幼馴染で5歳の頃からよく一緒にあそんでいた。
「このクラスあんま知ってるやついないから・・・。」
「うん。いないよね・・・。」
「あっ!そういえば潮田は?」
潮田というのは優衣のことだ。
「1組になっちゃった・・・。」
「そっか・・。」
「航大は?」
真山航大。凌の親友。私の良き相談相手だ。
「5組・・・。」
「ドンマイだね。」

「おーい!みんな席に着けー!」
まさかのやのっちが担任?!
「お前らの担任の矢野だ。よろしく!」
「えーーー・・・。」
そんな声が教室に響き渡る。
やのっちは無駄に熱血だから評判はあまり良くない。
ちなみに体育科の教師だ。

(今年も何も変わらない年になりそうだね。)

そう思っていた。

その頃の私には予知できなかった未来。

あるひとつの出会いが運命を変える。

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