《MUMEI》
人狩り 一日目
「これより人狩りのスタートです。今日のハンターは百人です。みなさん、頑張ってください。」
「まさかな、はは、これは何かの冗談だよな。」光は頭をかく。
「信じられないのも、わかるけど、これは現実よ。」
「ん?あんたは?」
「私は桜木(さくらぎ)莉緒(りお)よろしく。」
「俺は真条 光、よろしく。なあこれは本当にやっているのか?その、人狩りってやつを・・・。」
光は そんなことやってるわけ無いでしょ という言葉を期待して言った。しかし、その期待を打ち砕くように彼女は言った。
「さっきも言ったでしょ?現実よ。ほら。」
彼女はジャージのズボンの裾を少し上げて見せた。そこからは血が出ている。
「さっき、すごく目つきがこわそうなおっさんに銃で撃たれたの、その弾丸が私の足をかすめた。」
「本当に・・・。」
「うわ〜、誰か助けてく・・・」
ズドン 銃声と共に男の頭から、血が吹き出し、倒れた。
その数メートル先には光と莉緒がいる。
男を殺した狩人が二人に気付いた。
「次は貴様らだ。」
光の膝は震えている。
「光、あなた、銃を持ってる?」
「あ、ああ」
「じゃあ、撃ち殺しちゃって。」
「い、嫌だ。」
「は?あなた、ここで死ぬ気?」
「いや、走って逃げる。」
「その震えている足で?」
「そうだ。」
「・・・はあ、ここでは人を殺さないと生きていけないわよ。」
「そういうあんたは人を殺したり出来るのか?」
「ええ、さっきここにくるまでに四、五人殺したわよ。」
「四、五人・・・。」
「そっ!!そうしなければ逃げきれない。」
「けど・・・。」
「・・・はあ、あなたは逃げなさい。」
「君は?」
「私はあの男を引き付ける。」
「そんな・・・。」
「いいから、行きなさい!!」
「・・・ご、ごめん!!」
光は走り出した。背後で複数の銃声が鳴り響いた。
光が振り返ると莉緒は血を流して膝から崩れ落ちていた。
「くっ、くそ〜!!」
光は叫びながら走って行った。
・・・
ビービービー
「本日の人狩りは終了です。」
アナウンスとともにその日の人狩りは終わった。

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