《MUMEI》
総一郎の気持ち
総一郎は、重い気分
を抱えて家路に着い
た。

トボトボと足取り重
く歩きながら、考え
る。

結局、あの先輩の言
う通りだったな。
世良を傷付け嫌な思
いをさせた。

『…っ、ははっ…』

顔を歪め、苦笑いを
する総一郎。


…俺がハッキリとし
なかったからだ。い
や、正確にはハッキ
リとさせたくなかっ
た。

俺は臆病者で、世良
との今までの居心地
の良い関係が変わる
事が怖かったんだ。

世良の優しさに甘え
て、もう少し、あと
少しって、答えを先
延ばしにしてた。


隆に、世良の事をど
う思ってるか?聞か
れた時、本当に焦っ
た。

俺にとって、世良は
親友で大切な奴だ。
傍に居て癒されるし
素の自分を出しても
安心出来る居場所。


好き?と聞かれたら
迷わずに好き!と言
える。

…けど…。

それは、親友として
抱く好きなのか?隆
が神品に抱く様な好
きなのか?解らなか
ったんだ。


つい、感情に任せて
隆に詰め寄って怯え
させてしまった。

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