《MUMEI》
君がいたから
私、羽山夏子(はやまなつこ)は恋をしていた。


お相手は“あれ”。



「3年5組〜片岡晴輝(かたおかはるき)くん。今すぐ職員室まで来るように」

「うわっ!またかよ〜」

「ぶはははッ!!何やらかしたー?」

「うっせ!!だまれ(笑)」
「早く行けよー」

「おうっ」




成績5教科オール1
せっかちで短気

唯一の取り柄は
スポーツっていう


典型的なスポーツバカ


正直、私のタイプではなかった。



―去年の夏―

「羽山さん、今日の日直変わってくれない??」

またか…

「いいけど。…たまには自分でやったら?」

「ごめんって☆次はちゃんとやるから〜」

嘘だろ。

「おねが〜いッ」

はぁ…

「やっとくよ」

「本当ッ!?ありがとー」




これだから嫌なんだよ…



こんな事、何回もあった。
だけどこの日は
特別だった。


君に…

君に恋をした

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