《MUMEI》

「あっ…」
「あぁーっ!」

そのままクレーンが開き、手前にあった緑色の箱を倒してそのまま帰ってきてしまった。

「ごめんな、水色のやつ取れなくて」
「全然!いいよ〜ありがと♪ねぇ、グリーンティだって」

そう言うとかなたは箱を開けて、さっそく手首と首筋に香水を付けると、俺に向かって「いい香りだよ、どう?」と両手を広げてきた。

「ん〜いい匂いがするぜ〜♪」
「きゅ〜っ///」

そう言ってかなたの首筋の良い香りを楽しみながら、ギューッとエビ反りになるくらい抱きしめる。

「武は力が強いんだから、もぉ〜!」

かなたの優しいパンチを受けながらチラッとあっちの方を見てみると、案の定、取れないだ何だとか言ってギャル男が彼女に蹴られているのが目に入った。

…こっちは、優しい奴で良かったな。

= = = = = = = = = = = = = = = = = = = =

「あ…武、そろそろ帰えらなきゃ、はるちゃんに怒られるιね、そろそろ帰ろう?」
「…そうだな」

いっつも遅く帰るとはるちゃんの機嫌が悪い。

この前だってベッドの中に入ってはるちゃんのパジャマの中に手を入れようとしたんだけど『遅いし…冷たいんだよ、バカぁっ!』と言って触らせてくれなかった。

武の事も好きだけど、はるちゃんの事も好きだから、あんまり心配させたくないんだ…。



武と手を繋いで、寮までの道を帰る。

繋いだ手を前に後ろにブランコみたいにしながらスキップしたんだけど、武に『一緒にスキップしよ♪』と言ったら『んな事出来っかよ…』と言って一緒にはしてくれなかった。

武、スキップ出来ないのかな…リズム感悪いなぁ〜。


「そういえばもうすぐ夏休みだね!たけしとどこか行きたいな…」

遊園地に水族館、最近出来たショッピングモールとか。

和風な旅館に二人きり…ってのもいいなぁ、子供だから無理か…。

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