《MUMEI》

屋上の入り口へ続く階段の前で、雅俊は肩で息をしながら階段の先を見つめていた。




ここまで来るため階段を駆け上っている最中に、土砂降りは止んでいた。


雅俊のいる場所から見える外は雨上がり特有の空気に包まれていて、残った水滴が太陽光を浴びてキラキラと光っている。





しかし、大雨が降っていたと言うのにも関わらず屋上に出ていた人物が、いまだその階段の先にいる。





分かっていながら、不思議と雅俊は足を止めてしまっていた。


何かを知っている人物かも知れない。


そんな憶測だけでここまで駆けてきてた。

いざ対面してみたらただ土砂降りを楽しんでいるだけの生徒かも知れないという事も思い至り、なんと話しかけたら良いものかとは考えた。

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