《MUMEI》
総一郎と隆
悩める総一郎を自宅
の門、前で待ち伏せ
する人影があった。


『…総ちゃん、遅か
ったね、おかえり』


俯き歩いていた総一
郎は、その声に顔を
あげた。

ソコに居たのは隆。

『……た、かし?』


『うん、総ちゃん。
さっきはごめんね、
僕ビックリしちゃっ
て…』

ペコリと頭を下げる
隆、に総一郎が駆け
寄り頭を上げさせる


『違う、俺が悪かっ
たんだ、俺が…ゴメ
ンな隆。厭な思いさ
せて…俺、どうかし
てたんだ。』


『ううん、いいんだ
。それより僕ね、総
ちゃんの質問にまだ
答えてなかったよね
?』


『あ…それは…もう
……』

良いんだ、と言いか
けた総一郎の言葉を
遮る様に隆が話す。


『あのね、総ちゃん
友達と恋人の境界線
なんて、無いんだよ
。総ちゃんが勝手に
頭の中で作ってるだ
けだと思うんだ。』


『え?』


『ねぇ総ちゃん、僕
思うんだ。恋愛って
頭で考えてちゃ駄目
なんだって、心で感
じるんだってね。』


…だって僕が神品を
見た時、考えるより
先に心が動いていた
んだから…

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